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先端システム関連製品:音響・音声信号処理用フロントエンド
RASPシリーズ
RASP(Real-time Array Signal Processor)は、音声-超音波帯域において多チャネル(最大60チャネル(実績))の同期サンプリングを行うA/Dコンバータ、信号をリアルタイムに処理するFPGA、そしてネットワーク等の高次処理を可能とするプロセッサをコンパクトにまとめたユニークな音響・音声処理デバイスです。
RASPの特徴
RASPの特徴は、サンプリング機能に加えて、FPGAとプロセッサを搭載したアーキテクチャにあります。FPGAで、FFTやフィルタリング等のリアルタイムディジタル信号処理を、プロセッサで外部機器とのインタフェースといった高次処理をそれぞれが分担することで、音声・音響処理におけるフロントエンドの機能をすべてまかなうことを可能としています。一例として、RASP-ZXとの接続図を下図に示します。
また、RASP-ZXで使用しているカスケードマイクは、独自開発した技術(特許取得済)により複数のマイクロフォンをカスケード状に(直列に)接続しています。従来ならば、マイクロフォンの数だけケーブルが必要となり、マイクロフォンアレイで必要される本数をロボットやドローンといった限られたスペースに収めるにあたり、大きな問題とされてきました。一方、カスケードマイクは、マイクロフォン同士が直列に接続されているため、マイクロフォンの数にかかわらず常にケーブルは一対となり、装置内での限られたスペースでの配線を可能としました。
RASP開発の歴史
2000年 | 音響信号のサンプル&処理システムの開発を開始する。 |
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2001年 | RWC2001最終成果展示発表会にて展示。 |
2001〜 2002年 | 産業技術総合研究所からの依頼で、音響信号のサンプル機能+実時間処理を行うFPGA+高度処理を行うMPU+更に上位システムに接続可能な通信環境とこれらを統合したハードウェア・アーキテクチャを共同で開発。 |
2003年 | 音響学会にて上記システムを発表。 |
2004年 | GSPxにてRASP-1を発表。ここで初めてRASPという名称を使う。 |
2005年 | 「HRP-2 プロメテ」にRASP搭載のプレスリリースがされた。 自社製品としてRASP-2を販売開始。 |
2010年 | RASP-24を開発、販売を開始。 |
2012年 | RASP-LCを開発、販売を開始。 KURAGEを開発、販売を開始(千葉大学 大武研究室との共同開発)。 |
2013年 | RASP-ZXを開発、販売を開始。 |
2014年 | 日本ロボット学会にて、第19回実用化技術賞を受賞 |
2015年 | RASP-MXを開発、販売開始。 |
2017年 | カスケードマイクが特許を取得。 |
RASPの開発は、FPGAとプロセッサをサンプリングボードに搭載するという独創的なアイデアから始まりました。
当時のプロセッサの動作周波数やスレッド数では、多チャネルの信号処理をリアルタイムで行う事は難しく、同じく当時のFPGAはゲート数に制限があり、高度なロジックを実現するのは無理でしたので、その両方を搭載することでリアルタイム信号処理と高度な信号処理の双方を実現出来るスタンドアロンデバイスを目指して開発されました。
現代においてより高度な信号処理には、AIやビッグデータへのアクセスが技術トレンドとなり、スタンドアロンでの処理よりコネクティビリティが重要視されるようになりました。こうした背景からプロセッサの役割はデータ転送のインタフェースの提供が主となり、プロセッサに高性能を求める必要は無くなりました。加えて、FPGA自体にプロセッサのコアを搭載することが可能となりましたので、現行製品においてはハードウエア的にはFPGAのみで、RASPのアーキテクチャを実現しています。
この様にRASPは、技術トレンドやユーザのニーズに合わせて常に進化しています。