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先端システム関連製品:マイクロフォンアレイ
TAMAGOシリーズ
TAMAGOシリーズのマイクロフォンアレイは、サンプリングに特化したエントリーモデルから、データ転送を無線化したモデル、音声出力機能を備えたモデル、屋外での使用を考慮し防水・防塵化対応したモデル等、ニーズに合わせたラインナップを揃えています。
マイクロフォンアレイとは?
複数のマイクロフォンを空間的に配置し、それぞれのマイクロフォンで観測される音の違い(時間差、位相差)を処理・解析することで、音の発生位置を推定したり、特定の方向からの音だけを抽出するといった機能をもつ装置です。軍事技術から資源探査まで非常に幅広い分野で応用されていますが、身近なところでは、スマートスピーカーやWeb会議用のマイク等にも同種の技術が使われています。では、マイクロフォンを複数使う事で、どうして音が発生した場所を推定(専門的には音源定位といいます)できるのか?
特定の方向からの音だけを抽出(専門的には音源分離といいます)できるのかを簡単に紹介します。
- 音源定位
- 図1のように、A点、B点、C点の3カ所に配置したマイクロフォンで、それぞれ図1の様な波形が観測されたとします。同じ波形がA>>B>>Cの順番で伝わっていることが解りますから、音源からの距離もA点、B点、C点の順で近いと予想されます。ここで、A点とB点で観測された波形の到達時間の差をt1、同様にAとCの差をt2とします。
音源からA点までの距離を仮にlとしたとき、音源からB点、C点への距離は以下の式で表せます。
音源からB点までの距離 =ℓ+ ( c * t1 ) (1)
音源からC点までの距離 =ℓ+ ( c * t2 ) (2)
※c:音速(約340m/s)
ここでℓを変化させていくと、(1)の関係から音源の位置は図2の赤い点線で表されます。同様に、(2)の関係から音源の位置は青い点線で表されます。(1)と(2)の条件を同時に満たす点は、この二つの点線の交点ですので、ここが音源である事が解ります。
- 音源分離
- 図3の様に、様々な環境音のある中、複数の話者が同時に話しているところをA点、B点、C点の3カ所に配置したマイクロフォンで観測すると、各波形は図4の様に複数の音声や環境音が重畳されたものとなると考えられます。
ここで、ターゲットとなる話者の位置(図3赤色の人物)が既知で、各マイクロフォンからの距離がLa、Lb、Lcであるとすると、A点で観測される話者の音声は、話者が発話したタイミングからLa/cだけ遅れて観測されます。次に、B点で観測される波形は、A点で観測される波形より、La/c-Lb/cだけ、遅れて(進んで)いるはずです。同様に、C点で観測される波形は、A点で観測される波形より、La/c-Lc/cの時間差が生じます。ここで、話者の音声が存在する箇所にそれぞれの波形の位置を合わせる為に、波形Bと波形Cの時間軸をそれぞれLa/c-Lb/c、La/c-Lc/cだけずらします。そして3つの波形を足し合わせると、ターゲットとなる話者の音声だけは重ね合わさり強め合いますが、他の信号は相殺され、結果として図5の一番下の様な波形が得られ、特定の位置の音声だけを分離することができます。
上記の説明では簡略化のために、3個のマイクロフォンと音源は同一平面に配置されていますが、たまごシリーズのマイクロフォンアレイは8個以上のマイクロフォンを円周上に配置していますので、3次元的にどの方向から到来する音も音源定位・音源分離する事が可能です(※1)。
※1 たまごシリーズのマイクアレイは、サンプリング機能を基本としています。音源定位・音源分離等の応用にご活用頂けます。